僕のからだの向かって右上にもう一つの小さな心臓がとくとくと音をたてていることがわかり、我が家は小さなパニックになる。
普段は対して心配しない父は、真剣な顔つきで僕の体調を気づかい、心配症の母はなおのこと心配し、表情のない顔で僕が出勤に使っている黄色いホッピングの所に行き、あれこれと世話しなくしている。
当事者の僕は二人をなだめ、とりあえず事情を伝えるため、学校へ出かけると伝える。薄暗い夜明けに黄色いホッピングに乗り、心配気な家族の見送りを受けながら、僕は田舎道をバネのきしむ騒がしいキーコキーコという音をたてて出発する。
向かいから来る車を時にはバネの力強い跳躍でやり過ごしながらも、やはりいつもの調子が出ずに休み休み田舎道を進む。シルバーに青地のアクセントのついたホッピングが、僕の背中から追い越していくが、僕は見送ることしかできない。
青々とした田んぼの脇を黄色いホッピングで通り抜け、ようやく学校へ到着する。
学校では、ベージュのベストを来た校長が出迎え、小さな心臓ねとしきりに関心しながら、僕の説明に聞きいってくれる。僕は書類の整理をしながら、何せ突然のことでと半笑いになる。
最近のコメント