遠距離バスに乗って到着する。ぼくはなんの準備もしていなくて、あたふたしながら荷物をかかえ外に出る。外はガスっていて、バス停の近くには商店もなく、閑散としている。道の反対側にNとSがじゃれあいながら歩いている。ぼくもそっちにいきたいなと思うけれど、ぼくはしぶしぶ反対側をあるく。日本坂ってのは、なんでもとても長い長い坂で、渋滞やらがよく起きる。だらだらと長い長い坂を荷物をかかえて下りる。ぼくは森の中を歩いて宿のほうにむかう。かなり道が暗く、あの二人が来る頃にはまっくらになるだろうから、メールでもしておこうかなと思う。山道をわざわざ来なくても、タクシーでも拾えばいい。
森を抜けると廃れたレストハウスが見える。ほとんど人の気配はなく、営業している気配はない。新しくできたファーストフードの店やなにかもまっくらでどうもやっていないらしい。このあたりで食事を取れるのはここだけで、以前、来た時にはここで食事が出来てとても助かったものだった。
そんなときに寄るべきところがなくなったとツイートすると知らない人がおすすめの場所を教えてくれる。
温泉宿に着く。いつものオヤジがそっけなく迎えてくれる。今日はどうも混んでいるらしい。浴場へ向かうと、脱衣場まで部屋になっておりそこに泊っている人がいる。オヤジがその人たちに声をかけてくれるというので、いっしょに階段を降りていくと、まえに見たことのある背中が見える。階段を降り切り声をかけようと、ふと左を見るとKが居た。あっと声をあげて手をあげると、表情を変えずに視線を向けた。
最近のコメント