大学で仕事をして帰る。
もう夜も遅くなっているが、大学近くに住んでいるのでたいしたことはない。
坂道で加速して自転車が通りに出ると、針路にぱちぱちとはぜる音とともにボヤッとしたオレンジ色の光が見える。
瞬間、火事だと思い自転車を加速させる。住宅街の右に折れた小径からけむりが上がっているのが見える。横滑りしながら自転車を停めて、水を探す。
目の前から住人があせって飛び出し、バケツで水をかけている。ぼくは近くにあった青いボックスに水を溜めて、小径へ飛び出す。
目の前で小さな小屋が燃えている。勢いをつけて、水をかぶせていると煙を上げながら火の勢いが一気に小さくなる。
通りから鐘の音と赤いパトライトの明かりが近づいてきて、消防士たちがおっとり刀でかけつける。僕はふり返りながら、もう消えると思う。
最近のコメント