この半月は、下記の4冊がお伴でした。
・ホーキング、宇宙を語る
・ホーキング、宇宙のすべてを語る
・ホーキング、未来を語る
久しぶりに理論物理学。中高のころにブルーバックスや岩波新書、中公新書にはまっていた頃以来に読んだ。
ニュートン力学や相対性理論まではなんとか理解が及ぶが、量子力学や超ひも理論やブレーンなどの話題に入ってくると、途端に理解が難しくなる。
いくつかの発見のひとつは、ニュートン力学においてでさえ、2つの物体の予測はきわめて困難で複雑であるということ。僕は普段、2者以上の集団をあつかう理論的枠組を考えているのだけれど、その予測性たるや惨憺たるもの。
均質な世界を想定できる物理学の領野でも、2つ以上の物体の予測が困難であれば、個別性が前提にあるコミュニティ心理の世界じゃ予測なんて無理な のかもねと思ったり。質量などのピボタルな変数の抽出が、その予測性を高めているとみえ、心理学におけるピボタルな変数は何ナノかちょっと考えてみたり。
ニュートン力学から相対性理論にいたる際に、絶対時間を否定し相対時間をいう次元をとり入れた流れは、今まで絶対的な現象として観察が可能である
と信じてきた人間の行動を、対象と観察者との相互作用としての動的な「現象」として位置づける社会構成主義の流れとの同一性を感じた。いわば、現代心理学
はニュートン力学から相対性理論へと移行するパラダイム・チェンジに似た様相があるのかもしれない。
量子力学のいう不確定性原理の問題は、観察すること自体が介入として機能する参与的観察のパラダイムに近似している様に思えるし、不確定性原理
と数式的な記述を旨とする相対性理論との反目は興味深い。加えて、ホーキングの指摘する二つの理論を統合するM理論の指摘は、これから心理がなぞる道筋か
も知れない。
おすすめは「未来を語る」か「すべてを語る」。
「すべてを語る」をよめば「語る」ほうは、内容がほとんど重複しているので読まないでもよい。
図番はどれも劣悪で、本文の説明にもなっていないが、本文の解説は良質。最後になぜか列伝があるが、中途半端。
・ケータイ・ストーリ
ーズ
ユアグローをおく図書館も図書館だが、内容はちょっと今一つ。iModeに載せるために字数制限があったにせよ、「一人の男が飛行機から飛び降りる」並を期待すると肩透かしを食らう。
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