僕は火星に不時着した。不時着した町は廃虚のような町で全体的に薄暗くまるで夜のようだった。
僕は火星に不時着した。不時着した町は廃虚のような町で全体的に薄暗くまるで夜のようだった。
KのおせわになっているT先生のお宅に居候することになった。すでにKは一室を借りているようなのだ。
車でそこへ向かう途中、車内でうちのゼミのJも思いついたように、わたしも居候すると、宣言しだす。でも、先生に許しを得ていないし、いきなり居たら、きっと先生はびっくりするだろうと、とりあえずなだめる。
途中、スーパーによって今夜の食事の買い物をすることになる。パッと買って、行くつもりだから、スーパーに横づけして、鍵もかけずにいく。とりあえず野菜類を一通り。ぼくは果物も欲しかったのだけれど、みかんはかさばるし、みんなで食べられるものがなかったので、断念。また思いついたようにJが、お惣菜を買うと言いだす。たしかこのスーパーには、充実した惣菜コーナーがあったのだが、そのあたりに行ってみるとすでになく、あえなく断念。
レジをすますと、調度よい時間のバスが出ていたので、みんなで乗り込む。
しばらく進んだところで、自分たちは車で着ていたことに気づく。しかたないので、ぼくだけスーパーに戻るとあったはずのところに、すでに車がない。
スーパーの係りに下手に出ながら聞いてみると、駐車場の片隅に車が止まっているのが、見えた。すると、こわもての警備員が現れ、ぼくが車どろぼうではないかと、嫌疑をかける。
日頃の臨床のワザを使って、精一杯に笑顔でむこうに調子をあわせて話していると、ますます怪しいと疑われる。
しばらくの押し問答のすえ、ぼくが過去に同じようにこのスーパーに車を忘れて行ったことをぼくと警備員が思い出す。あーあの時のと意気投合して、そういえば、以前も同じワインフェアの頃でしたねと笑い合う。
ぼくはそのとき、ワインを試飲していい心持ちになって帰ったあとに戻って来たのだが、飲酒運転になるんじゃないかと、びくびくしながら帰ったことを思い出す。
今日は家族を連れてでかけなければならないのだけど、クルマが2台あるのに運転できるのが、僕しかいない。
仕方ないので、僕が2台一緒に運転することにする。どうせ行き先は一緒だし。
2台のクルマに4人づつ乗り込み、同時に発車。無線を使って、こちらのハンドルをむこうのクルマもトレースしつつ、前に進む。
途中、渋滞にハマり、アクセルワークが難しい。こちらが前に進めなくても、むこうは前に進まなくてはいけない。
無線を入れたり切ったりしながら、前にぶつからないか、ヒヤヒヤしどおし。距離もなかなか縮まらない。
大きな交差点で間違って反対車線に入ってしまう。周囲のクルマがクラクションをならすが、いいタイミングなので、距離をつめて、並んでいるクルマに割り込む。
目的地はあと少し。角をまがったところなのだ。
子どもといっしょにおでかけ。
モールのようなところへ行く。多少むずがりぎみなのでご機嫌とりにおもちゃ屋へ入る。最近のはやりは電車なので、早速いくつかの電車を手に取ったり、気を聞かせた店員がおすすめの電車おもちゃを店に来るが、本人の希望はどうもそれではないらしい。だいたいの場合、へんなこだわりがあるので、ヘタにあれだのこれだの問い詰めるとかえって混乱するので、あんなのあるよーとか本人にちょっとうろうろしてもらう。
しばらくすると、どうやら決まってきたらしく「丸っこい電車で手作りっぽいの」というオーダー。あいかわらず、よくわからないこだわりで、自分の子だなぁと思ったり。目配せすると相方は、面倒くさくなってきたのか距離をとってフラフラしてる。しょうがないので、子どもといっしょに広い店内で丸っこい電車を探す。
ちいさなボールにディフォルメされた電車の正面のプリントがしてある、それっぽいのが見つかったので、本人にいうと手作りっぽくないのでダメだと言う。ここは落とし所なので、いかに手作りっぽいかを縷々伝えるが、納得できないらしい。
ふと店内に目をやると、おもちゃ工場見学のポスターが。「こんどのおやすみの時におもちゃ工場見学にいったら自分で色塗れるかもよ」と変速球をなげると、そちらへ興味が移ったのか、なんとか交渉成立。工場は山形にあるらしい。日帰りできるかしらとふと考える。
相方も多少うんざりめに近づいてきたので、工場見学の話をするといっしょに笑う。「じゃあそれを買ったら、おもちゃ工場に行くときのお洋服買わなきゃね」と、丸っこい電車をもちながら3人で店内を後にする。
小学4年生のクラスにいきなり編入させられる。20才も若いじゃんとか、思いつつも以外と他の子達はなじんでいて、自分以外に違和感を感じているヒトがなぜかいない。出される問題もあまりにもわかりきった内容で、楽勝なんだけど、周囲が違和感を感じないことに違和感を感じる。
Kに、さほどうまくないらきすたのこなたの絵がうまいと持ち上げられ、場末のゲーセンで披露するように言われて連れていかれそうになる。なんとか逸らして遠くに逃げるが、腕ひしぎをされながら田んぼのあぜ道を通って連れていかれる。
ぼろぼろのゲーセンの中には、中2病に罹ったガキどもが暴れており、Kに突然襲いかかり返り討ちに遭う小太り系ガキや、ケムリ系の手品とかいきなりやりはじめて周囲をおとしめるものなど、混乱の極み。
香山リカがあらわれて、らきすたのこなたの絵がうまいヤツは誰だと探し始める。ぼくは適当にごまかして、Kさんならきっと知ってますよと告げて、奥の部屋にいるKさんをさがす。
僕らは一つの施設にまとめられて、目的を達成するために進んでいたのだが、とある事情により施設ごと水の中へと入らなければならなかった。
看護婦たちは酸素ボンベをつけて、冷静に対応し続けていたけれど、なんの用意もしていなかった僕らは勢いに揉まれて、施設の外に吐き出されていくものや、ばらばらに水の中で溺れてしまうものやら。僕もその例に漏れず意識を失いそうになりながら水中をがむしゃらに泳ぎ、看護師に空気を求めたが、彼らは忙しく立ち回るばかりで相手にしてくれない。
僕は部屋を見回して、白い棚の上にある薬剤を見つける。もうろうとする中で、薬剤を混ぜるとわずかに泡が立ち、僕はそれを水ごと呑込むようにして吸い込む。それを見つけた他の者も水中をもどかしげにぎこちなく泳ぎながら近づいてくる。その気配を感じながら、1回では足りないので、2回目を行いできるだけ多くを呑込もうとする。
大学で仕事をして帰る。
もう夜も遅くなっているが、大学近くに住んでいるのでたいしたことはない。
坂道で加速して自転車が通りに出ると、針路にぱちぱちとはぜる音とともにボヤッとしたオレンジ色の光が見える。
瞬間、火事だと思い自転車を加速させる。住宅街の右に折れた小径からけむりが上がっているのが見える。横滑りしながら自転車を停めて、水を探す。
目の前から住人があせって飛び出し、バケツで水をかけている。ぼくは近くにあった青いボックスに水を溜めて、小径へ飛び出す。
目の前で小さな小屋が燃えている。勢いをつけて、水をかぶせていると煙を上げながら火の勢いが一気に小さくなる。
通りから鐘の音と赤いパトライトの明かりが近づいてきて、消防士たちがおっとり刀でかけつける。僕はふり返りながら、もう消えると思う。
湖の近くで待ち合わせる。
この近くでは南米の羽根のついたトカゲが飛び回る。
仕事の相手はアライグマを連れて現れて、ぼくはじゃれようと手を出すと、アライグマは突然、ワンと吠える。アライグマも街で飼われると犬のように吠えるらしい。
ひととおり仕事の話をしたら、パラグライダーで山から下りて帰ることにする。
パラグライダーは始めて3年目。この空を飛ぶ感覚は何とも言えない。
そろそろ街が見えてきた。日野のあたりだろうか。駅近くの雑踏が見える。
ふと気づくと、どうも高度が足りない。いまさら昇れるはずもなく、ぐんぐん地上が近づいてくる。あっというまに、パラシュートが電線に引っかかる。
大きく振り子のように揺られながら、ゆっくりと動く時間。
マズイことになったと肝を冷やす。
地上の人々が驚いた表情でこちらを窺うのが見える。警官が、こちらを見やりながら走り出す。ぼくは大きく振られた反動をうまくつかって、空き地に着陸する。
警官は戻ってくる。ぼくは謝るべきかどうしたらよいのか話をしようといくつかの予行練習をするが、警官は忙しそうにぼくの前を通り過ぎ、あちらへ行ってしまう。取り残されたぼくはこのパラシュートを引っ張って収めるべきか、このままにすべきか春秋する。
ひとり居場所なく困っているとしていると、空からいくつものパラシュートがおりてくる。
あっというまに、駅前の暗渠のうえを複雑に往来する電線に、それらは次々と引っかかる。その様子を見ながら、ぼくはたいへんなことになったと思いながら、少しだけほっとする。
僕のからだの向かって右上にもう一つの小さな心臓がとくとくと音をたてていることがわかり、我が家は小さなパニックになる。
普段は対して心配しない父は、真剣な顔つきで僕の体調を気づかい、心配症の母はなおのこと心配し、表情のない顔で僕が出勤に使っている黄色いホッピングの所に行き、あれこれと世話しなくしている。
当事者の僕は二人をなだめ、とりあえず事情を伝えるため、学校へ出かけると伝える。薄暗い夜明けに黄色いホッピングに乗り、心配気な家族の見送りを受けながら、僕は田舎道をバネのきしむ騒がしいキーコキーコという音をたてて出発する。
最近のコメント